シンガポール周辺を旅行中、写真のようにスッキリとしないどんよりとした雲に覆われた空(下写真)をみたことはありますか?
撮影日は2019年9月20日
PSI指数は100付近です
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Haze ヘイズ
このどんよりとした空の正体は、インドネシアのスマトラ島やカリマンタン島などの大規模な野焼き(焼畑農業)や自然森林火災により生じた煙や排気ガス等の微粒子による煙霧です。
乾季である4月から10月にかけて野焼きが多くなり、この煙霧濃度が高くなります。微粒子を大量に含んだ大気により視界が悪くなる現象を現象をヘイズ(Haze:煙霧)と呼んでいます。
中国の大気汚染は酷いと言われていますが、シンガポール、マレーシア、インドネシアでも、この時期は霧のように街全体が煙に包まれ、視界が悪くなるとともに、焦げたにおいを感じるなどの大気汚染が問題となっています。
Haze ヘイズ関連記事
2019年9月になってから、シンガポール、マレーシア、インドネシアにおける大気汚染に関するニュースが多々報告されるようになってきました。目立ったニュースを取り上げてみました。
2019年9月12日
マレーシアの首都クアラルンプールに隣接するセランゴール州では、マレーシアで大気の汚染度を示すAPI指数が「著しく不健康」(201~300)とされる水準に達したため、同日州内の学校のうち5校を休校とすると発表した。翌13日金曜日には29校を休校、9月14日土曜日には約1万人、9月15日の日曜には4万5000人の生徒が休校の影響を受けた。
2019年9月14日
シンガポールで大気の汚染度を示すPSI指数が114となり、2016年以来約3年ぶりに「不健康」とされる水準(101~200)に上昇した。
2019年9月18日
インドネシアのスマトラ島中部にあるジャンビ州ジャンビ市で、インドネシアで大気の汚染度を示すISPU指数が318を観測した。
2019年9月18日
シンガポールで大気の汚染度を示すPSI指数が170から180の間を彷徨い、「不健康」とされる水準に上昇。「非常に不健康」に分類されるレベルまで接近した。
2019年9月18日
シンガポール航空グループ傘下のシルクエアは、マレーシアのペナン州で、シンガポールで大気の汚染度を示すPSI指数が「著しく不健康」(201~300)とされる水準に達したため、ペナン-シンガポール間の5便を運休した。別の4便はスケジュールを変更した。
2019年9月18日
マレーシア航空傘下の格安航空会社ファイアフライも、スランゴール州スバン空港とシンガポールのセレター空港間の12便全便を運休した。
日常生活にも多くの影響がでています
Haze ヘイズ リアルタイム情報
シンガポールの環境庁のヘイズ情報ページでは、各種汚染物質PM2.5、PM10、SO2、NO2、CO、O3の有害物質の情報を公開しています。
シンガポールの大気汚染指数は、下記のサイトでご確認できます。
シンガポール環境庁のヘイズ情報ページ (https://www.haze.gov.sg/) の情報によると、インドネシアのスマトラ島中部にあるジャンビ州周辺で発生した濃度の高いヘイズが、マレーシア半島の西海岸に向かう風の強い風によって、スマトラ島全体、シンガポール、及び、マレー半島の西海岸沿岸に拡散しているのがわかります。スマトラ島の地域では伝統的に焼畑農業が行われており、乾季である4月から10月にかけてヘイズの問題とされています。
大気汚染の最新データは、下記のサイトでも確認することができます。
Haze ヘイズ汚染基準指数
ヘイズによる汚染度合いを表す指標として、シンガポールでは汚染基準指数PSI(Pollutant Standard Index) という数値を使います。マレーシアではAPI (Air Pollutant Index)、インドネシアではISPU (Indeks Standar Pencemar Udara)という数値を使います。観測地点、観測条件などが各国で異なるために名称が異なりますが、どちらの国でも数値に関して以下のような基準を示しています。
PSI/API/ISPU (数値) | Air Quality Descriptor (影響) |
---|---|
0 – 50 | 良好(Good) |
51 – 100 | 中程度(Moderate) |
101 – 200 | 不健康(Unhealthy) |
201 – 300 | 非常に不健康(Very Unhealthy) |
301以上 | 危険(Hazardous) |
汚染基準指数100以下の目安
遠方の空は薄く霞み、人によっては焦げたにおいを感じることがあります。
汚染基準指数101から200の目安
近くの建物を見ても霧がかかり、視界が悪くなります。煙のにおいも多くの人が感じるレベルとなります。
汚染基準指数201から300の目安
霧の中に入ったかのように周囲の視界が極端に悪くなります。室内でも煙のにおいを感じるレベルです。
汚染基準指数301を超える状態
健康な人であっても呼吸に苦しさを感じ、屋外活動は必要最小限にとどめる必要があります。
汚染基準指数PSI/API/ISPUは、微小粒子状物質であるPM2.5、PM10、SO2、NO2、CO、O3などの有害物質を含み、計測されています。
微小粒子状物質のなかでも、粒子の細かいPM2.5は健康被害への影響が大きく、粉塵とSO2が相乗的に作用することで、非常に高い健康リスクをもたらすことが知られています。これらの微小粒子により、目、鼻、喉などの粘膜が刺激され、目や皮膚のかゆみ、鼻水、咽頭痛や、時にめまい、吐き気などの症状が現れることがあります。特に、心臓や呼吸器の病気がある人は病気が重症化する可能性がありますので注意が必要です。
Haze ヘイズ対策
汚染基準指数が高い場合はできる限り外出を控え、屋内で窓を閉め、エアコンや空気清浄器を使用することが望ましいですが、外出をされる場合は、次の対策が有効と考えます。(個人差もありますので参考としてお考えください。)
マスクをする
マスクを販売している店を現地で探すのは難しいと思いますので、日本で調達し、持参したほうが良いと思います。PM2.5に効果のある「N95規格」をクリアした微粒子用マスクの効果は高いですが、性能が高い故に連続着用は15~30分程度とお考えください。
こまめにうがいをする
水分を多く摂取する
目薬やのど飴を服用する
移動の際はタクシーを利用する
シンガポール、マレーシア、及びインドネシアに旅行する方やビジネスで出張される予定の方は、上記のサイト(https://www.haze.gov.sg/)から適時情報収集し、積極的に対策を行うことをおすすめします。
Haze 9月末の状況
9月30日現在PSI数値は53となりました!
空も明るいので安心してご旅行ください
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